2026年7月、FUJIから「MILESDOVES(マイルスダヴス)」が発表されました。既に定番となっているFEATHER CX+のDNAを受け継ぐ、クロモリのグラベルバイクです。

クラシカルな細身のクロモリフレームに、700×38cの太いタイヤ。前後キャリアもフェンダーも付く豊富なダボ穴。舗装路も、その先に続く砂利道も、ひと続きの景色として走るためのツアラーです。

FUJIはこの車体を、遠くまで飛ぶ能力を誇示せず街に自然と溶け込む鳥にたとえていました。競技性能を看板にせず、生活に馴染む。この一台がどういう性格なのか、スペックとジオメトリから読み解いていきます。

サチ子
サチ子
グラベルバイクって、砂利道を走る自転車ですよね? 街乗りには大げさじゃないですか?
サグ
サグ
それがさ、最近のグラベルは街にもすごく馴染むんだよ。このMILESDOVESなんて特にそう。
マスター
マスター
マイルスダヴス?ジャズトランペットの巨匠みたいな名前だな。

フェザーの血を引く一台

出自を辿ると、この車体は「フェザー」の血を引いています。シングルスピードの名車フェザーがあり、そこからディスクブレーキと太いタイヤを得てグラベル化した「フェザーCX+」が生まれた。MILESDOVESは、そのフェザーCX+のDNAを受け継いだ後継的なモデルです。

フレーム素材はクロモリ。FUJIのライフスタイルバイクの定番で、しなやかな乗り味と丈夫さを併せ持つ金属です。

サイズによってはホリゾンタル(トップチューブが地面と水平な、クラシックな形)を採用していて、細身のクロモリと相まって、停めてあるだけで絵になる佇まいがあります。

古典的な見た目と、グラベルという新しいカテゴリー。
この組み合わせが、MILESDOVESの第一の魅力です。

クラシカルなのにモダン。懐かしいのに新しい。相反する二つが一台に同居しています。

太いタイヤと、豊富なダボ穴

街乗りで使うことを考えたとき、この車体の実用的な強みは2つあります。

ひとつは、タイヤの太さ。

標準で700×38cを履いていて、フレーム側は最大45cまで対応します。

一般的なクロスバイクが28c〜32cあたりなので、それよりだいぶ太い。

太いタイヤは、路面の細かい凹凸や段差の衝撃を吸収してくれます。

日本の街なかの、意外と荒れている歩道の段差や、工事跡のガタガタも、太いタイヤなら角が丸くなる。

もうひとつは、ダボ穴の多さ。

前後のキャリアやフェンダー(泥除け)に対応するアイレットが豊富に用意されていて、さらにフォークにはサイドのボトルマウントまである。

つまり、キャリアを付けて荷物を積む、フェンダーを付けて雨に備える、ボトルケージを増やす、といった生活仕様への拡張が自在にできます。

完成車のまま乗ってもいい。でも、少しずつパーツを足して、自分の暮らしに合わせて育てていける。この拡張性の高さは、長く付き合う相棒として大きな価値です。

サチ子
サチ子
荷台とか泥除けが付けられるの、実用的で嬉しいです! 買い物にも使えますね。
マスター
マスター
スポーツ自転車で買い物、おおいに結構。生活の道具として使い倒せばいい。

フェザーCX+と、どう違うのか

ここが、いま検索している人がいちばん知りたいところだと思います。兄貴分のフェザーCX+と、新しいMILESDOVES。何が違うのか。

数字を並べると、性格の違いが見えてきます。

まずギア。
フェザーCX+はクランク48/36T・カセット11-32Tなのに対して、MILESDOVESはクランク46-30T・カセット11-34T。
前も後ろも、軽いギアの側に広げてあります。
これは、荷物を積んで坂を上るような、のんびりした長距離走行を想定した設定です。

次にタイヤ。
CX+が35c、MILESDOVESが38c。MILESDOVESのほうが一段太い。

そしてジオメトリ(車体の設計寸法)。
MILESDOVESは、BBドロップ(ペダルの回転軸の低さ)が大きく、ヘッドアングルもゆったりしている。
この数字が意味するのは、低重心で直進安定性が高い、落ち着いた乗り味の方向性です。
公表されている「ややアップライトなポジション」という説明とも一致します。

まとめると、こういうことになります。

フェザーCX+は、シクロクロス由来の軽快さを残した、走りのキレで楽しむ一台。MILESDOVESは、安定性と積載性に振った、のんびり長く走るための一台。

走りの良さ、キビキビ感で言えばフェザーCX+に軍配が上がります。
一方で、快適性や安定感で言えばMILESDOVESに軍配が上がる。

同じDNAを持ちながら、振り分けられた性格が違うんです。

そもそも、生まれた時代が違う

もう少し踏み込むと、この2台には出自の時代差があります。

フェザーCX+は、グラベルバイクという言葉が一般化する前から存在していたモデルです。

まだカテゴリーの名前がなかった頃から、舗装路とその先の道を地続きに捉えていた、いわば先駆けです。

対してMILESDOVESは、グラベルが一つのジャンルとして定着した今、満を持してそこに振り切ったモデルと言えます。

BB位置やフロント周りの設計を見直し、タイヤをより太くし、ダボ穴を増やした。グラベルという枠組みがはっきりした時代に、その枠に最適化して生まれてきた。

先駆者と、完成形。どちらが優れているという話ではなく、生まれた時代の違いが、そのまま性格の違いになっています。

どちらを選ぶか

では、どちらを選べばいいのか。

街なかをキビキビ走りたい、信号からの加速を軽快に楽しみたい、たまにダートに入る程度、という人はフェザーCX+。

荷物を積んで長い距離をのんびり走りたい、太いタイヤの安心感が欲しい、キャンプやツーリングに使いたい、という人はMILESDOVES。

ざっくり分けると、こうなります。

生活の足として使い倒し、たまに遠出もしたい、という街乗り中心の使い方なら、積載性と安定性のあるMILESDOVESのほうが素直に合う場面は多いと思います。

最終的には実車にまたがって、ピンと来たほうを選ぶのがいちばんです。

ひとつ気になる点を挙げるなら、フェザーCX+が今後どうなるか。

MILESDOVESという後継的なモデルが出た以上、CX+がこの先も残り続けるかは、現時点では分かりません。
ただ、2026年8月現在は、まだ両方とも選べます。だから今は、余計なことを考えず、自分と気の合うほうを選んでほしい。

フラットバータイプは別途記事にしています。

FUJI MILESDOVES FLATは街乗りに振ったフラットバーグラベルFUJI MILESDOVES FLATとは? フロントシングル11-45T、油圧ディスク、手前に絞られたトレッキングバー。ドロップ版とジオメトリは同じまま操作系だけを街向けに変えた一台を、低速安定性という切り口で解説。都市部の街乗りならこちらが正解かもしれません。...

グラベルバイクが街乗りにどう馴染むのか、カテゴリーそのものについては別の記事でも書いています。あわせて読んでみてください。

https://rhythmtubes.jp/2026/07/29/gravelbike-cityride/

そして、MILESDOVESのルーツであるフェザーについては、こちらで触れています。

https://rhythmtubes.jp/2026/07/12/feather-custom/

マスター
マスター
走りのCX+か、快適のMILESDOVESか。
サグ
サグ
なるほど、どっちが上とかじゃないんですね。自分の乗り方で決めればいいのか。
サチ子
サチ子
わたし、キャンプに行ってみたいので、荷物が積めるほうが気になります……!