20年間、チェーンに一度も油を差したことがありません。理由は単純で、アルベルトにはチェーンが無いからです。

ブリヂストンのアルベルトはベルトドライブを採用しています。チェーンの代わりに、カーボン編み込みのゴムベルトで走ります。

だから油も差さないし、錆びないし、ズボンの裾も汚れません。
それで20年。通学から始まって、いまだに現役です。

筆者には自転車が2台あります。20年のアルベルトと、12年のGIANT Escape RX3。
どちらも長い付き合いですが、その役割は正反対です。

2台の役割は?

アルベルトは、暮らしに合わせて形を変えてくれる自転車です。

最初は通学の足でした。社会人になれば通勤の足になり、子どもが生まれれば送り迎えの相棒になりました。
こちらのライフスタイルが移ろうたびに、アルベルトは黙ってそれに追従してくれます。
乗るときに意識すらしない、空気みたいな一台です。

Escape RX3は逆で、ただの移動を「有酸素運動とストレス発散」に変えてくれる自転車です。

学生の頃、わざわざ早朝に家を出て、大きく遠回りして2時間かけて登校したことがあります。
普通に行けば30分の道を、です。ママチャリとは進むスピードも、ペダルを踏んだときのダイレクト感もまるで違う。
意味もなく遠回りして帰りたくなるくらい、走ること自体のコスパが良い乗り物でした。

足としてのアルベルト、遊びとしてのEscape RX3。日常と非日常。
この2台で、筆者の自転車観はだいたい説明がつきます。

なぜ自転車なのか(車でよくない?)

家族で動くときは、もちろん車です。
そこは自転車の出る幕じゃありません。

ただ、一人で動くときは、いまもクロスバイクがメインになっています。

理由のひとつは健康です。

といっても筆者はランニングが大嫌いで、運動のためにわざわざ走るなんて、一生続く気がしません。

でも「移動」は嫌でも毎日発生します。その絶対に発生するイベントを、勝手に有酸素運動に変えてくれるのが自転車です。
運動嫌いほど、自転車は効きます。

もうひとつは、チャイルドシートを付けて子どもを後ろに乗せて走っていた頃の経験です。

小学校に上がってからはもう乗せられませんが、車や電車移動だとスマホに逃げがちなところ、自転車だと嫌でも子どもと「同じ速度で、同じ風を受けて、声を張り上げて会話する」ことになります。

今振り返っても、あれは車移動では絶対に得られない、密度の高い時間でした。

正直、いいことばかりじゃありません

ここはちゃんと書いておきます。

釘を踏めばパンクします。しばらく乗らなければ各部が劣化します。雨の日は、基本乗れません。

消耗もそれなりです。Escape RX3はこの12年で、タイヤを3回、チェーンを2回、ホイールを1回替えています。

一生懸命乗るほど、パーツが減るのは早い。
まあ乗らない期間が長くても劣化はしていきますが。

アルベルトも、20年ものとなると無傷ではいられません。

タイヤは3回ほど替えました。自慢のベルトドライブも、さすがに経年で異音が鳴り始めています。

しかも旧仕様なので、交換用ベルトの入手が難しい。
20年使えば、こういう現実的な問題も出ます。
フロントフォークは一度転んで曲げてしまい、ショップで交換しました。

あと正直に言うと、一度スポーツサイクルに乗ってしまうと、アルベルトはめちゃくちゃ重く感じます。
これはもう構造上、仕方がありません。
その代わり乗り心地はめちゃくちゃいいです。
サドルは柔らかいし体勢も楽だし。
後付けの荷台に背負ってるギターケースの底面を乗せれるので普通に背負うより負担が少ないんです。

と、乗り換えるたびにそれぞれの魅力を痛感させられ、手放さずに乗っているわけです。

(さすがに買い換えないとマズイ、とは思い始めているのですが)

趣味を仕事にした筆者が、いま自転車に乗る理由

正直に言えば、筆者は自転車にそこまで執着しているわけではありません。

ではなぜ、この2台に乗り続け、わざわざこんな発信を始めるのか。
少し、人生の棚卸しをしてみます。

筆者はしがないギター講師として、音楽を仕事にしてしまっています。

ありがたいことではありますが、そうなるとギターや音楽を純粋な趣味として見られなくなります。

どこかビジネスライクな視点が常に伴ってしまうのが、カルチャーを仕事にした人間の宿命でもあります。

では、自分の「純粋な趣味」とは一体何なのか。
振り返ってみると、人生の転機やライフスタイルの変化のタイミングには、いつもあの2台の自転車があったような気がします。

実際、インドアな筆者にとって、自転車は珍しくハマったスポーティな活動でした。

山を越えたり、海沿いを思いっきり突っ走ったり、街の知らない道を片っ端から探検したり。
自転車は挑戦と発見に満ちていました。

しかも、ただ体を動かすだけでなく、そこには深いカルチャーもあります。
知れば知るほど、その魅力に気づかされる世界でした。

そして何より、ギターとの共通点が見逃せません。

  • TUBE(フレーム / 真空管)
  • PEDAL(ペダル / エフェクター)
  • DRIVE(駆動 / 歪み)
  • TUNE(整備 / 調律)
  • TRACK(路面 / 楽曲)

とまあ、言葉遊びのようなもんですが。

自転車のケイデンス——ペダルを回すリズムに、その人の生活や習慣、思想が宿るように思います。

趣味を仕事にしてしまった筆者にとって、自転車は数少ない「純粋な趣味」です。

それをもう一度ちゃんと味わうために、この『RHYTHM&TUBE’S』を始めたという経緯です。

そして今、より趣味性の高い自転車に興味が向いています。

ロード、マウンテン、ピストなど。

アルベルトはもう限界が近そうだし、クロスバイクを実用車、他のカテゴリーを入手してそっちを趣味車として遊ぼうか…なんて夢想しています。

そんな筆者の妄想と考察を垂れ流しつつ自転車の魅力を味わい、伝えていこうと思っていますのでどうぞよろしくお願いします。

 

── ココロニ灯ヲ。