スポーツ自転車を買おうと調べ始めると、まず「クロスバイク」と「ロードバイク」の2つにぶつかります。

見た目は似ているのに名前が違う。
値段もずいぶん差がある。

どっちを選べばいいのか、最初はまったく見当がつきません。

いちばん簡単な見分け方は、ハンドルです。

下にくるんと曲がった「ドロップハンドル」ならロードバイク。
まっすぐな一本の「フラットバー」ならクロスバイク。

例外はありますが、これだけでまず9割は判別できます。

ただ、本当の違いはハンドルの形ではありません。

この2台は、そもそも目指している方向が違うのです。

筆者はクロスバイク(GIANT Escape RX3)に12年乗っているので、今回はその実感も交えて、両者の違いを正直に整理します。

クロスバイクとは

かつてクロスバイクは、「ロードバイクの軽快さと、マウンテンバイクの頑丈さを、いいとこ取りした自転車」と説明されてきました。

どちらにも振り切らない、ちょうど中間の乗り物、というわけです。

ところが最近は、その説明だけでは収まらなくなっています。

同じクロスバイクの中に、よりロードバイク寄りの「フラットバーロード」と呼ばれる軽快な仕様もあれば、太いタイヤを履いて街乗りの快適性に振ったものもある。

クロスバイクという言葉が指す範囲は、年々広がっています。

裏を返せば、クロスバイクは「どこにも特化していない」自転車です。

これは弱点のようでいて、最大の長所でもあります。

特化していないからこそ、気軽に乗れる。

通勤にも、買い物にも、ちょっとした遠出にも、一台で雑に対応してくれます。価格の上限もそれほど高くなく、最初の一台として手を出しやすい。

「気軽なスポーツサイクル」というポジションを、しっかり確立した乗り物です。

分かりやすい例が、筆者のEscape RX3です。

筆者のものは3×9の27段変速ですが、現行モデルは2×8の16段変速に変わっています。

フロントのギアを3枚から2枚に減らし、段数をすっきり整理する ── これは、より走りにフォーカスした「フラットバーロード」的な方向への進化です。

同じ車名でも、12年のうちにここまでロード寄りへ性格を変えている。

クロスバイクという枠そのものが、いま動いている証拠だと思います。

サチ子
サチ子
とりあえず一台、って人にはクロスってことかな?
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ロードバイクとは

ロードバイクは、速く走ることに特化した自転車です。

目的がはっきりしている分、設計も潔い。

より軽く、より空気抵抗が少なく、より剛性が高いことが、ひたすら追い求められます。

価格は、安いものもありますが、上限は事実上ありません。

フレームやパーツの素材ひとつで青天井に上がっていく世界です。

「コスパで選ぶ」という発想とは、少し距離のあるジャンルだと思っておくとよいです。

正直に書いておくと、筆者はロードバイクを所有していません。なのでここから先の「速さの文化」については、所有者ほどの実感を持っては語れません。

観察と伝聞の範囲だと、あらかじめ分けておきます。

カスタムの方向が、真逆

両者の性格がいちばんはっきり出るのが、カスタム(改造)の方向性です。

クロスバイクのカスタムは、利便性を伸ばす方向に進みます。

キャリアやバッグを取り付けて荷物を運べるようにしたり、泥除けやライトを足して日常の使い勝手を上げたり。「もっと便利に、もっと生活に馴染むように」が基本のベクトルです。

ロードバイクのカスタムは、ひたすら速さに向かいます。

各部をより軽く、より剛性の高い部品に替え、1グラムでも削って、少しでも速く遠くへ。

そしてカスタムの対象は、自転車だけにとどまりません。心肺機能と筋力を鍛える「肉体改造」までが、文化の一部として地続きになっています。

乗り手自身もパーツのうち、というわけです。

マスター
マスター
ロード乗りは速さを求めてジムに通い、己の馬力まで高め始めるんだ

どんな人に向いているか

ここまでを踏まえて、選び方を正直にまとめます。

クロスバイクが向いている人

  • 通勤・通学の足にしたい
  • 1日の走行が20km以内くらい
  • カゴやキャリアを付けて、荷物も運びたい
  • とにかく気軽に、肩肘張らずに乗りたい

気軽さと利便性を重視するなら、まずクロスバイクで間違いありません。街乗りという土俵なら、ロードの速さは持て余すことのほうが多いです。

ロードバイクが向いている人

  • 50kmを超えるような長距離を走りたい
  • 目的地に着くことより、走ること自体が目的
  • いずれは競技として楽しみたい

走ること自体を目的にできる人、速さの追求そのものを楽しめる人には、ロードバイクが応えてくれます。

まとめ

  • クロスバイク … 特化しないことが長所。気軽・便利・価格も手頃。街乗りと通勤通学の王道。
  • ロードバイク … 速さに全振り。軽量・空力・剛性、そして肉体まで。価格は青天井。
  • 迷ったら、まずはクロスバイク。多くの人にとって、日常で持て余さないのはこちらです。走ること自体に火が付いたら、そのときロードを考えればいい。
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