ママチャリ以上、スポーツバイク未満という選択肢|クロスバイクですら敷居が高い
ママチャリの見た目は好きになれない。
でも、スポーツバイクに乗りたいわけでもない。
そんなふうに感じたことはないでしょうか。
前カゴと泥除けとチェーンカバー。どうしても生活感が出てしまうし、乗っていて気分が上がる乗り物ではありません。
かといって、速く走りたいわけでも、休日にロングライドへ出かけたいわけでもありません。
毎日の移動が少し気分の良いものになれば、それでいい。
ママチャリに20年、クロスバイクに12年乗ってきた筆者ですが、この板挟みにいる人はかなり多いと思っています。
そして両方に乗ってきたからこそ、書いておきたいことがあります。
クロスバイクですら、実は敷居が高いのです。
クロスバイクを勧めたのは、スポーツ自転車に興味がある人へ
このブログでは以前、「初めての一台にはクロスバイクを勧める」という記事を書きました。
あれは本心ですし、今も撤回するつもりはありません。
ただし、あくまでスポーツ自転車に興味がある人に向けた話です。趣味として自転車を始めたい、運動もしたい、遠くへも行ってみたい。
そういう目的があるなら、クロスバイクは間口が広く、失敗しにくい一台になります。
けれど、そうではない人も多いと思います。
ママチャリの見た目は野暮ったい、かといってクロスバイクはガチすぎる。
趣味として自転車に向き合う気はなく、日々の移動が少し良くなればそれでいい。
そういう人にとって、クロスバイクは決してベターな選択ではありません。
クロスバイクには、小さな敷居がいくつもある
クロスバイクは素晴らしい乗り物です。
が、日常の道具として迎えるとなると、案外お金も手もかかります。
車体で8万円前後かかります。
安いものもありますが、まともなものを狙うとこの価格帯。気軽な出費ではありません。
空気入れが専用品になります。
クロスバイクの多くは仏式バルブで、家にあるママチャリ用の空気入れが使えません。
高い空気圧で走るので、こまめな空気入れも必須。
自転車を買ってすぐ、専用の空気入れも買うことになります。
スタンドもカゴも泥除けも、基本は別売りです。
スタンドが別売りのモデルも多い。買い物袋を積む場所もないし、雨上がりに走れば路面の水分を弾くので泥除けも必要。
普段使いするには追加の出費が必要です。
気軽に停められません。
30万円以上のロードバイク程ではないですが、8万円の自転車を街中に置くのは、気を遣うものです。
コンビニにちょっと寄るのをためらう。長時間の駐輪が不安になる。頑丈な鍵も必要になります。結果として、使う場面を自分で狭めていくことになります。
そしてチェーンの注油や変速の調整。難しくはありませんが、やる前提の乗り物です。
こうして並べると見えてきます。クロスバイクは「スポーツバイクを始める」という心構えを、そこそこ要求してくる乗り物です。
趣味として向き合う人には許容できるコストでも、「お洒落に乗りたいだけ」の人には過剰になります。
ママチャリに戻る気もない
ではママチャリでいいのか。それも違うはずです。
見た目が野暮ったい。
これがいちばん大きい。
重くて進まない。乗っていて楽しくない。
何より生活感が出ます。
おしゃれな服を着ていても、ママチャリに乗っていると格好がつかなかったり。
周りが気にしてなくても一回気になるとモヤモヤしちゃいますよね。
多くの人は「ママチャリの佇まいは嫌」だけど「スポーツバイクのガチ感もいらない」という、宙ぶらりんの場所にいます。
しかしこの場所にもちゃんと選択肢があります。
ママチャリ以上、スポーツバイク未満の選択肢
この領域に当てはまる自転車を挙げてみます。
ミニベロ

タイヤの小さい自転車です。
小径ならではのコンパクトで洒落た佇まいがあり、街に置いてあるだけで様になる。
取り回しが軽く、狭い道や駐輪も気楽。速く走るための乗り物ではないので、そもそも構えが要りません。
折り畳み自転車

畳めることの最大の価値は、輪行より室内に持ち込めることだと思っています。
玄関や部屋に置けるなら、保管時盗難の不安がほぼ消える。
クロスバイクの「気軽に停められない」という悩みを、根本から回避できる選択です。
雪国の場合はシーズンオフも場所をとらずに保管できるのもありがたいですね。
シングルスピードのシティコミューター

変速のないシンプルな自転車ですが、ピストのようなストイックさではなく、街乗り向けに作られたもの。
FUJIのSTROLLあたりがこの領域です。
野暮ったさとは正反対の、削ぎ落とされた洗練さがあります。
変速機がないぶん構造もシンプルで、扱いに気を張らずに済みます。
電動アシスト

とにかく楽です。
そして近年、デザインの選択肢が大きく増えました。
かつての実用一辺倒なイメージからすると、別物と言っていいモデルもあります。
坂の多い土地に住んでいるなら、選択肢に入れて頂きたい。
選ぶときの視点は、2つ
スペックの話をするつもりはありません。
この領域を選ぶ人にとって、フレーム素材や変速段数の合理性は、あまり関係がないからです。
なので見るべきは別の2つです。
①毎日見て触るものとして、好きな見た目かどうか
これを最優先にしていいと思います。
毎日乗るものです。玄関に置いてあるのを見て少し嬉しいかどうかは、性能表のどの数字より生活に響きます。
理屈で「こっちの方が合理的」と選んだ一台は、意外と長続きしません。
②気負わずに使えるかどうか
買い物に寄れるか。小雨の日にも乗れるか。ちょっとそこまで、と気軽に乗れるか。
構えが要る乗り物は、出番が減ります。
趣味ではなく日常の道具として迎えるなら、ここは譲らない方がいい。
この2つを満たしていれば、それが正解です。
速さも軽さも、この文脈では優先事項になりません。
日々の移動を、おしゃれに楽しむ
自転車は、趣味にしなくてもいい乗り物です。
週末に何十kmも走らなくていい。
ピチピチの専用のウェアを買わなくていい。
メンテナンスを勉強しなくていい。
毎日の移動が少し気分の良いものになるだけで良いのです。
駅までの道。買い物への往復。少し遠回りして帰る夕方。
そういう何気ない時間に乗るものが、自分の好きな佇まいをしていて、気負わず使える一台であること。
それだけで日常の景色は変わります。
ママチャリとスポーツバイクの間には、ちゃんと選択肢があります。
趣味を始める必要はありません。
日々の移動を、おしゃれに楽しむ。
それが目的なら、選ぶべき一台はきっとこの領域にあります。




