先に白状します。筆者は自転車を二回盗まれています。

二回とも、原因は鍵のかけ忘れでした。

20年連れ添っているブリヂストンのアルベルトですが二回ほどやられてます。

数ヶ月後にどちらも手元に戻ってきましたが、それは運が良かっただけだと思っています。

この記事は、防犯のプロの講義ではありません。

二回やられた人間の反省文です。だからこそ、施錠の話だけは口を酸っぱくして言わせてください。

なぜ自転車は盗まれるのか

対策の前に、相手を知っておきます。

自転車を盗む人間には、大きく二つのタイプがいます。

目先の足として乗り捨てるタイプ

終電を逃した、歩くのが面倒、雨が降ってきた。そういう理由で、鍵のかかっていない自転車にまたがって、目的地で乗り捨てる。

本人の中では「盗んだ」ではなく「ちょっと借りた」に近い感覚です。

標的になるのは、主に安価なママチャリ。筆者のアルベルトが二回とも短距離の乗り捨てに使われたのは、まさにこのパターンでした。

換金目的で狙って盗むタイプ。

ロードバイクやクロスバイク、電動アシストといった高価な車両を、フリマアプリや買取業者で売るために持っていく。

こちらは場当たりではなく、計画的です。

鍵の外し方も、持ち去り方も、心得ている。

厄介なのは、この二つで脅威の性質がまったく違うこと。

前者は「かけ忘れ」を突いてくる。後者は「かかっていても」突破してくる。だから対策も分けて考える必要があります。

防犯登録は「盗難を防ぐ」ものではない

ここで、多くの人が誤解している点を正直に書きます。

防犯登録は、盗難を防ぐ力はほとんどありません。

防犯登録は法律で義務づけられていますが、登録しなくても罰則はありません。そしてステッカーが貼ってあっても、鍵が甘ければ普通に盗まれます。

乗り捨て犯はステッカーを気にしないし、換金目的のプロはステッカーを剥がすかパーツにばらすので、追跡機能も無力化されます。

では意味がないかというと、そうではない。

防犯登録が本当に効くのは「盗まれた後」です。

乗り捨てられた自転車が警察や自治体に回収されたとき、登録情報をたどって持ち主に連絡が来る。
筆者のアルベルトが二回とも戻ってきたのは、この仕組みのおかげです。

つまり防犯登録は、セキュリティではなく「国が管理する迷子札」だと捉えるのが正確です。

盗まれない力はないが、戻ってくる可能性は上げてくれる。

ちなみに有効期限や料金は都道府県ごとに違うので、引っ越したときなどは登録先の確認をおすすめします。

ただし、戻ってくるまでのタイムラグは長い。

筆者の場合は数ヶ月でした。

その間、自転車のない生活を強いられます。
戻ってくるとしても、盗まれない方が圧倒的にいい。

結局、頼れるのは自己防衛、つまり施錠です。

ママチャリ編:本体の鍵を、必ず使う

ママチャリの防犯は、実はシンプルです。

最初から付いている本体の鍵(リング錠)を、必ずかける。これに尽きます。

ママチャリの多くは、後輪に一体型の鍵が最初から付いています。

レバーをカチャッと下ろすだけ、一瞬で施錠できる。

手間はほぼゼロです。

それでもかけ忘れが起きるのは、「近所だから」「すぐ戻るから」という油断です。
筆者の二回も、まさにそれでした。

乗り捨て犯は、施錠されていない自転車を狙います

なぜなら鍵を壊す手間をかけたくないから。
そして施錠の有無は、離れて見ても一目で分かる。
かかっていない自転車は、それだけで「どうぞ」と札を下げているようなものです。

逆に言えば、一瞬でかかるあの鍵を習慣にするだけで、乗り捨てのターゲットからはほぼ外れます。
安いからと油断せず、むしろ安いからこそカジュアルに盗まれると考えてください。

スポーツサイクル編:軽さが弱点、だから地球ロック

クロスバイクやロードバイクは、話が変わります。まず、本体に鍵が付いていないことがほとんどなので、自分で用意する必要があります。

そしてもう一つ、決定的な弱点がある。軽いことです。

ママチャリと違って、スポーツサイクルは片手で持ち上がるほど軽い。

つまり、その気になれば鍵ごと担いで車に積んで持ち去れる
車輪とフレームをどれだけ頑丈な鍵で固定しても、車体そのものを持っていかれたら意味がありません。

ここで効くのが「地球ロック」です。
地面から生えて動かない構造物——頑丈なサイクルラック、太い柱、撤去されない柵——に、車体を括りつける。こうすれば、いくら軽くても持ち上げて連れ去ることができなくなる。

軽いという弱点を、地面に固定することで無関係にするわけです。
スポーツサイクルの施錠は、鍵の強さ以前に、まずこの地球ロックが徹底できているかで決まります。

鍵そのものの種類(U字ロックや多関節ロックなど)については、選び方が奥深いので別記事にまとめます。ここでは一つだけ。

細いワイヤーロック一本での長時間駐輪は、施錠しているポーズにしかなりません
数秒で切られます。
あれはコンビニに駆け込む数十秒用か、二本目の補助と割り切ってください。

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結局、いちばん大事なのは「かけ忘れないこと」

高価な鍵をいくつ持っていても、かけ忘れたら意味がない。

逆に、安い鍵でも確実にかかっていれば、乗り捨て犯は素通りします。

二回盗まれた筆者が、身をもって学んだ結論がこれです。
鍵は、性能より”かけ忘れないこと”が9割

そのために大事なのは、意志ではなく習慣です。

「気をつけよう」と思っているうちは、また忘れます。

そうではなく、降りてからの一連の動作に、施錠を組み込んでしまう

自転車を停める、スタンドを立てる、鍵をかける。
この三つを、切り離せないワンセットの動きとして体に擦り込む。
考えなくても手が勝手に鍵をかけている、という状態を作る。
ここまでやって、ようやくかけ忘れは消えます。

もう一つ、身も蓋もない現実も知っておいてください。

どんなに高価で頑丈な鍵でも、プロが電動グラインダーや油圧カッターを持ち出せば、数分、早ければ数十秒で切断されます。

絶対に切られない鍵は存在しません
だから施錠の本質は「絶対に破られないこと」ではなく、「こいつは面倒だ、次を探そうと思わせること」にあります。

タイプの違う鍵を二つ使い、地球ロックを徹底する。
それだけで、犯人の天秤は「面倒」に傾きます。

そして何より、かけ忘れないこと。

二回やられた人間からの、切実なお願いです。

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