クロスバイク(Escape RX3)に12年乗っている筆者ですが、電動アシスト自転車にはずっと縁がありませんでした。

しかし最近、偶然にも乗る機会がありまして。

先日、愛車を点検に出したところ、数日預かりになり、しばらく代車を借りる事になった時店主にこう言われました。

「スポーツ自転車も良いけど、電動アシストも面白いよ」

そして代車として貸してもらったのが、パナソニックのベロスター・ミニでした。

結論から言えば、店主の言葉はその通りでした。

面白い

ただし、面白さのベクトルがクロスバイクとはまったく違っていたのです。

サチ子
サチ子
電動アシストって、やっぱり楽なんですか?
サグ
サグ
楽でしたよ、クロスバイクとは違った乗り味ですけど。
マスター
マスター
食わず嫌いはもったいねえぞ。あれは別の乗り物だ。比べるもんじゃない。

借りたのは、ベロスター・ミニ

パナソニックが「電動アシストスポーツバイク」として出している20インチのミニベロです。

アルミフレームに、シマノの外装7段変速。
手元のグリップを回して変速するレボシフト式です。

車体重量は20.1kg、アシストの強度は3段階のモードから選べます。

前後に泥除けが標準装備で、オートライト機能付き。

日常使いを想定した装備が最初から揃っています。

この時点でクロスバイクとは考え方が違うのが分かります。

背中を押されるような加速

乗り出して最初に驚いたのが、加速でした。

ペダルを踏み込むと、背中をぐっと押される

自分の脚力だけでは絶対に出ない立ち上がりで、身体が置いていかれるような感覚があります。

近いのはマニュアル車の加速感でしょうか。

明確に「動力」が車体に付いている

このマニュアル車のような感触が、とにかく新鮮でした。

自転車は本来、自分の脚が唯一の動力です。
進むも止まるもすべて自分の身体の延長として付き合ってきましたが。そこに別の力が加わると、乗り物としての質がまるで変わります。

楽になるという以上に、乗っていて単純に面白い
店主が「面白いよ」と言った意味が、走り出して10秒で理解できました。

手元のスイッチでアシストの強さを切り替えられるのも新鮮でした。
ライトのオンオフも手元でできます。

走りながら手を離さずに操作が完結するのは、想像以上に楽です。

サチ子
サチ子
背中を押されるって、なんか怖くないですか?
マスター
マスター
慣れりゃどうってことない。むしろ坂道でありがたみが分かる乗り物だ。

クロスに慣れた身体には、物足りなさもある

面白い一方で、はっきりした物足りなさもありました。

日本の電動アシスト自転車は、法令で時速24km/hを超えるとアシストが働かなくなる仕組みです。

それ以上は自分の脚だけで踏むことになります。

ベロスター・ミニは7段変速ですが、そこまで重いギアが載っているわけではないので、筆者が出せたのは28km/h程度でした。

そして気づけば、常に7段目のギアで走っていました

アシストモードも、結局いちばん強いパワーモードばかり使ってました。

クロスバイクで25km/h前後の巡航に身体が慣れていると、その速度域を保とうとしてしまうからです。

結果として、電動アシストが持っている「モードを使い分けて長く走る」という良さを、まったく活かせていませんでした。

車体重量20.1kgという数字も体感に出ます。

クロスバイクは10kg前後なので、およそ2倍。

アシストのおかげで加速は軽々こなせますが、車体を倒し込む感覚や、思った通りに曲がる軽快さは、やはりスポーツ自転車に分があります。

もう一つ、アップライトな姿勢のままあの速度が出ることには、少し怖さも感じました。

前傾姿勢のスポーツ自転車は、速度が上がるほど身体が安定します。

上体が起きた状態で同じ速度に届くのは、慣れるまで落ち着かない感覚でした。

カタログの「適応身長」には落とし穴がある

ここが今回いちばんの発見でした。

170cmの筆者は、乗っていて少し窮屈さを感じていました。

ところが調べてみると、ベロスター・ミニの乗車適応身長は約146〜181cm。

しっかり適応範囲の中に入っています

答えはメーカーの注記にありました。

パナソニックの公式サイトには、こう書かれています。
「乗車適応身長は、1人で乗車時、両足のつま先が地面に着地できる身長を指します」。

適応身長は”足が着くか”の基準であって、”快適に走れるか”の基準ではないのです。

範囲の中にいても、ポジションが自分に合うとは限らない。

20インチの小径で、コンパクトにまとめられた車体なので当たり前ですね。

サイズ展開が豊富なモデルはこの適応身長が細かく分けられているので、体格に合った車体を選べますが。
ワンサイズで適応身長の範囲が広くても最適なサイズに自分が当てはまっているとは限らないって事なんですね。

クロスバイクはフレームサイズが細かく展開され、体格に合わせて選ぶのが当たり前の世界です。
その感覚があったから、この違和感に気づけました。

カタログの数字だけ見て「範囲内だから大丈夫」と判断すると、買ってから窮屈さに気づくことになります。

やはり自転車は実際にまたがってから決めるべきです。

それでも、程よい塩梅の一台だと思う

ここまで物足りなさも書きましたが、ベロスター・ミニという自転車の立ち位置は、なかなか絶妙だと感じました。

ママチャリよりも明確にスポーティなジオメトリで、乗っていて前に進む気持ちよさがあります。

かといって、クロスバイクほどの「スポーツ自転車を始めます」という気構えは要らない。

20インチの小径だから見た目もどこか軽やかで、駐輪場でも取り回しやすい。

ママチャリ以上、スポーツバイク未満という位置に、きれいに収まっています。

そしてスポーツ自転車の経験がない人なら、そもそも「アシストが切れる24km/h」という上限が問題になりません。

オートマチックモードやロングモードで走れば、走行距離も伸びて、十分に満足できる走りが得られるはずです。

筆者が物足りなさを感じたのは、単にクロスバイクの乗り方に慣れてしまっていただけの話です。

面白かった

数日借りただけの短い付き合いでしたが、乗ってよかったと思っています。

自分の脚だけで進む乗り物に12年乗ってきた身からすると、別の動力が加わる感覚は素直に新鮮でした。

そして日常の道具として見れば、泥除けもライトも最初から付いていて、坂道も苦にならない。

毎日の移動を楽にするという一点において、電動アシストは明確に強い

スポーツ自転車と電動アシストは、優劣ではなく追っている価値が違います。

軽やかに操る面白さを取るか、楽に速く移動できることを取るか。
どちらを求めているかで選べばいいだけの話です。

食わず嫌いをしていた自分に、店主の一言は良い機会をくれました。

もし近所の自転車屋に代車制度があるなら、一度借りてみることをおすすめします。

乗ってみないと分からないことが、想像より学びの多い乗り物でした。

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