自転車保険とロードサービスは何が違う?|義務化で「入らなきゃ」と焦る前に整理する
クロスバイク(Escape RX3)に12年乗っている筆者ですが、自転車まわりの「備え」については、つい最近まで無関心でしたが、義務化とかの話もあるしと思って調べてみると結構ややこしくて。
自転車保険。
個人賠償責任保険。
ロードサービス。
名前は聞くけれど、どれが何を守ってくれるのか、よく分からなかったんです。
義務化のニュースを見て「何か入らないと」と思ったものの、でも何に入ればいいのか分からない。
そのまま放置していた時期がありました。
先日、自分の備えを一度ぜんぶ棚卸しして、ようやく整理がつきました。
この記事は、そのとき筆者が理解した「何が、何を守るのか」を、同じように混乱している人に向けて交通整理するものです。
「自転車保険」は、実は3つの機能の寄せ集め
まず、いちばんの混乱のもとから。
「自転車保険」という一つの商品があるように見えますが、中身をほどくと、性格の違う補償が組み合わさっています。
一般的に売られている自転車保険は、次の2つがセットになっています。
ひとつは、相手への損害賠償への備え。
人にぶつかってケガをさせた、物を壊した。そのとき法律上の賠償責任を負った分を補償するものです。
これは「個人賠償責任保険」と呼ばれる部分。
もうひとつは、自分のケガへの備え。
自分が転んで入院した、後遺障害が残った。
そういうときに保険金が出る「傷害保険」の部分です。
だから「自転車保険は人にかける保険」というのは、半分だけ正しい。
相手への賠償だけでなく、自分のケガもカバーするのが、いまの自転車保険の一般的な形です。
ここに示談交渉サービスなどが付くこともあります。
義務化が求めているのは、賠償の部分だけ
ここが、焦って契約する前にいちばん知っておきたいところです。
多くの自治体で自転車保険の加入が義務化されていますが、条例が求めているのは、事故で加害者になったとき、相手への賠償をカバーする備えです。
さっきの2つでいえば、前者の「個人賠償責任」の部分。
つまり「自転車保険」という商品名のものに入る必要はなくて、相手への賠償をまかなえる保険や特約に入っていればいい、という自治体がほとんどです。
自分のケガの補償まで義務づけているわけではありません。
なぜこの区別が大事か。次の話につながるからです。
まず、いま入っている保険を確認する
賠償への備え、つまり個人賠償責任保険は、単体で入るより、他の保険の「特約」として付いていることが多いんです。
たとえば、火災保険。
賃貸を借りるとき、家を買うときに入った火災保険に、個人賠償責任の特約が付いているケースがあります。
自動車保険にも同じような特約が付けられます。
しかもこの個人賠償責任、多くの場合は一つの契約で家族全員が対象になります。
自転車事故に限らず、飼い犬が人を噛んだ、洗濯機の水漏れで階下に迷惑をかけた、そういう日常のトラブルまでカバーする幅の広いものです。
何が言いたいか。
義務化に慌てて新しく自転車保険を契約すると、すでに火災保険や自動車保険で持っている賠償補償と、まるかぶりになることがある。
そして賠償の補償は、二重に入っていても、実際の損害を超えて受け取れるわけではありません。
払う保険料が無駄になるだけです。
新しく入る前に、まず今の火災保険・自動車保険に個人賠償責任特約が付いていないかを確認する。
付いていれば、義務化の要件はそれで満たせている場合がある。
足りない部分だけを足せばいい。
ロードサービスは、そのどれとも別物
さて、ここまでは「保険」の話でした。
ロードサービスは、この保険の話とは軸がまったく違います。
守るのは、人でもケガでもなく、動けなくなった自転車そのもの。
出先でパンクした、変速が壊れた、スポークが折れた。
自力ではどうにも走れなくなったとき、駆けつけて自転車を指定の場所まで運んでくれる。それがロードサービスです。
サービスによっては、その場での応急対応や、自転車保険が付帯するものもあります。
自動車のJAFの、自転車版をイメージすると近い。
事故の賠償でも、自分のケガの治療費でもなく、「立ち往生からの救出」に特化した備えです。
だから、自転車保険に入っているからロードサービスは要らない、という話にはなりません。
両者は別々の穴を塞いでいる。賠償や傷害の保険は「ぶつかったとき」に、ロードサービスは「壊れて動けないとき」に働く。
カバーしている場面が重なっていないんです。
表で整理する
3つの備えが、それぞれ何をカバーするのか。並べるとこうなります。
| 備え | 相手への賠償 | 自分のケガ | 故障時の搬送 |
|---|---|---|---|
| 個人賠償責任保険(特約) | ○ | × | × |
| 自転車保険(一般的なセット型) | ○ | ○ | × |
| ロードサービス | △(付帯あれば) | × | ○ |
※商品やプランによって内容は変わります。加入前に必ず各社の最新の補償内容を確認してください。
こうして並べると、性格の違いがはっきりします。左2つは「事故」への備え、右端は「故障」への備え。
守っている場面が別なので、どれか一つですべてが済む、という組み合わせは存在しません。
全部盛りが正解、ではない
では全部に入ればいいのかというと、そうではありません。
賠償はすでに火災保険で持っているかもしれない。
自分のケガは、加入済みの医療保険と補償が重なることもある。むやみに増やせば、重複した分だけ保険料が積み上がっていきます。
やることは、自分に空いている穴を見つけて、そこだけを塞ぐこと。
街乗りで毎日乗る人にとって、賠償への備えは外せません。
義務化の対象でもあり、万が一のとき金額が大きくなるのもこの部分です。
まずここが埋まっているかを確認する。
そのうえで、自分のケガの補償や、故障時のロードサービスを、自分の乗り方に合わせて足すかどうか考える。
生活の足として使い倒すなら、故障の搬送というお守りは、思っているより出番の可能性があります。
そのあたりの実感は、筆者が実際にロードサービスに入ってみた話として別に書くつもりです。
備えは、多ければ安心というものではありません。
自分の走り方に空いた穴の形を知って、そこにぴったり合うものを選ぶ。
過不足なく揃ったときに、いちばん気持ちよく走れます。






