ROCKBIKESの主力3モデルは、12万円前後という同じ価格帯に並びながらも、それぞれが異なる個性を持っています。

メランコリー、ライザー、ジェラシー。

同じくらいの予算で、どの遊び方で乗るかという選択になります。
3台を筆者の独断チャート付きで整理します。

ROCKBIKESはFUJIの定番ピスト「FEATHER」などを手掛けたデザイナー西山氏が立ち上げたブランドです。

ピストが街乗りで使えるのかという基礎は別記事にまとめているので、初めての方はそちらからどうぞ。

ピストバイクは街乗りで使える?クロス乗りが本気で考えたピストバイクは街乗りで使えるのか。クロスバイク歴12年の筆者が、ブレーキ義務という法律の大前提から、街乗りに最適なギア比2.8前後、苦手な坂・長距離まで忖度なしで解説。固定ギアの魅力と現実を正直に。...

まず、3台に共通するロックバイクスの思想

違いの前に、共通点を押さえておきます。

3モデルには、はっきりした共通の設計思想があります。

フレームは3台ともクロモリ。

しなやかで長く付き合える素材で、細身の造形美もクロモリならでは。

ステムも3台ともアヘッドなので、ステム交換やスペーサーで高さを詰められ、パーツの流用もしやすい。

実際、公式でもハンドルタイプ(ライザーバー/ドロップ/ブルホーンなど)が選べる仕様です。
タイヤクリアランスもある程度確保され、太めを履く余地もある。

ハブも三台とも標準でフリップフロップハブが採用されており、固定ギアとフリーギアを切り替えられる用になっています。
最初はフリーギア、慣れてきたら固定ギアに挑戦というように乗り方を選べるのは初心者にとっては嬉しい。

フリップフロップハブとは?ピストバイクで2つのギアを使い分ける仕組みピストバイクを調べていると、「フリップフロップハブ」という言葉に出くわします。 フェザーのようなシングルスピード完成車のスペック表にも...

つまり3台とも、「買って終わり」ではなく乗り手が自分に合わせて育てられるように作られている。

しかも、どれも街乗りをしっかりこなす実力を持っている。

この共通の土台があるからこそ、選ぶときの決め手は性能差ではなく、それぞれの個性になるわけです。

性能を一望する:どれも高水準で、拮抗している

スピード、走破性、トリック、拡張性、気軽さ、快適性。この6軸で筆者が独断で位置づけたのが、下のチャートです。

見てのとおり、3台は大きくは離れていません。ライザーが走破性・トリック・気軽さでやや広い万能型ですが、メランコリーもジェラシーも、街乗りに必要な性能は十分に高い水準で拮抗しています。

つまりチャートが教えてくれるのは「性能では決められない」ということ。

だからこそ、選ぶ基準は次の”個性”に移ります。

※数値はスペックの引き写しではなく、筆者の独断的な位置づけ(5段階)です。感覚的な目安として見てください。

MELANCHOLY(メランコリー)

まとう個性は、クラシカル。競輪的なDNAを感じさせる、美しいデザインです。

極細クロモリの水平トップチューブ(ホリゾンタル)が生む清潔感のある佇まいは、これぞピストという王道の姿。

何気ない日常の移動に、ちょっとした特別感を添えてくれる一台です。

作りも王道です。フレームは競技用をリスペクトした規格。

リアブレーキはBB裏に隠され、目立たない位置にあるおかげで細身の造形を邪魔しません。

フォークもクロモリ製なので、鉄らしいしなやかな乗り味が味わえます。

タイヤは32cまで対応し、ピスト然としつつスキッドもできる。

キャリアや泥除けを付けても様になる懐の深さもあり、3台の中では最もオーソドックスで扱いやすい。

クラシックな見た目と、鉄のしなやかな乗り味を重視する人に向く、バランスの取れた王道モデルです。

向いている人

クラシカルなピストの造形美に惹かれる

日常に少しの特別感が欲しい

鉄らしいしなやかな乗り味が好き

最初の一台に扱いやすさを求める

フェザーは買ってからが本番|街乗りピストに育てるカスタム案5選FUJIのFEATHER(フェザー)は、完成された一台 --ではありません。 むしろこれから磨き上げる「原石」です。 クラシカルな...

RIZER(ライザー)

個性は3台で最も控えめです。

ただしそれは欠点ではなく、万能ゆえの結果。

3台で唯一のスローピングジオメトリで、モダンなスタイル。

やや太めのクロモリチューブが存在感を放ちます。

大阪のマスターピストとタッグを組んだモデルで、性能は文句なし。

太いタイヤが履けて走破性は随一、バースピンなどにも対応するジオメトリでトリックの幅も広い。

前後32Hのホイールは3台で唯一の強度重視の仕様で、トリックも荒れた路面もこなす。

ブレーキは前後内側のVブレーキ、ワイヤーも中通しでスッキリ。

サドルは肉厚で快適、チェーンリングは46Tと軽めで発進もラク。

スローピングでアップライトな姿勢だから乗り降りもしやすい。

つまり、初心者からトリック重視の上級者まで、誰が乗っても納得のパフォーマンス。

弱点らしい弱点がない。その代わり、メランコリーのクラシカルさやジェラシーの攻撃性のような、強烈な”顔”はない。

性能で選ぶなら、間違いなくこれ。個性より実力を取る人に、最も勧めやすい一台です。

向いている人

一台で何でもこなしたい

トリックも未舗装路も楽しみたい

楽な姿勢で気軽に乗りたい

個性的な見た目より実力・万能性を重視する

JEALOUSY(ジェラシー)

 

まとう個性は、攻撃的。

トップチューブが前下がりになったパシュートフレームは唯一無二で、似たものがほとんどない。

3台で最も見た目にインパクトのある一台です。

ここで大事なのが、見た目と中身のギャップ。

攻撃的なルックスと超前傾の仕様から「上級者向けの気難しいバイク」に見えますが、実際は違います。

メランコリーの兄弟モデルにあたり、最大の違いはフルカーボンフォークによる軽量性。

前後ハブはシールドベアリング、ハブ軸は中空クロモリで、強度を保ちながら軽量化されています。

この構成が生む軽快感に加え、クロモリフレーム+カーボンフォークが路面の振動をしっかり吸収するので、見た目から想像するよりずっと乗り味が柔らかい。

長めのライドもこなせます。

しかも、適合身長160cm〜という設計で、タイヤは入手性の高い700Cを前後採用。

整備性も高く、むしろピスト初心者にこそ勧めたいと評されるほど。

軽快感・整備性・デザイン性のバランスが、この一台の本当の強みです。

攻撃的なルックスは超前傾を伴いますが、それでも乗り味は優しい。

デザインが気に入ったなら、初心者でも臆せず挑戦してほしい一台です。

向いている人

唯一無二の攻撃的なルックスに一目惚れした

見た目は攻めたいが乗り心地は犠牲にしたくない

軽さと整備性のバランスが欲しい

デザインで選びたい

スペック比較表

MELANCHOLY RIZER JEALOUSY
個性 クラシカル モダン・万能 攻撃的
ジオメトリ ホリゾンタル スローピング パシュート
フレーム クロモリ クロモリ クロモリ
フォーク クロモリ クロモリ カーボン
ステム アヘッド アヘッド アヘッド
ブレーキ 前=外側/後=BB裏 前後内側(V) 前後外側
チェーンリング 48T 46T 48T
ホイール 前20H/後28H 前後32H 前20H/後28H
サドル 王道 肉厚 軽量
こんな人に 日常に特別感を 実力・万能性を デザインに一目惚れ

※価格・スペック・カラーは年式で変わります。購入検討時は必ず公式サイトの現行モデル情報を確認してください。

細部にも、キャラクターは出ている

性能は拮抗していると書きましたが、細部のスペックには、ちゃんと各モデルの方向性が表れています。

ホイールのスポーク数を見てください。

ライザーだけ前後32H、他の2台は前20H・後28H。スポークは多いほど強度が上がり、少ないほど軽量寄りになる。

ライザーの「トリックも悪路もこなす万能性」が、スポーク数に表れているわけです。

サドルも同じで、肉厚(ライザー=快適重視)、軽量(ジェラシー=軽さ重視)、王道(メランコリー=バランス)。

ブレーキ配置も、メランコリーはBB裏に隠して造形美を優先、ライザーは内側Vブレーキで実用、ジェラシーは前後外側で素直。

細かい数字からも、そのバイクの性格を読み取る事が出来ます。

どう選ぶか:性能じゃなく、まとう個性で

3台とも12万円前後の価格帯(モデルやハンドル仕様で1〜2万円の差はあります)。

クロモリ・アヘッド・タイヤクリアランスという土台も同じで、性能もどれも街乗りに十分な高水準。

だから、選ぶ基準は性能ではありません。この一台が、自分にどんな個性をまとわせてくれるかです。

クラシカルな美しさで、日常に特別感が欲しいなら → メランコリー。競輪的な細身のホリゾンタルフレームが、いつもの道を少しだけ特別にしてくれます。

とにかく実力重視、一台で何でもこなしたいなら → ライザー。初心者から上級者まで納得の万能性。個性は控えめですが、性能で選ぶならこれ以上はありません。

攻撃的なデザインに一目惚れしたなら → ジェラシー。超前傾の見た目とは裏腹に乗り味は柔らかく、初心者でも臆する必要はない。デザインが気に入ったなら、迷わず飛び込んでいい一台です。

性能で甲乙をつけられないからこそ、「自分がどんなピストに乗りたいか」という気持ちで選べる。

こういうラインナップの組み方をするブランドは、乗り手のことをよく分かっているのだと思います。

そして3台とも、アヘッドでハンドルが選べて、クロモリで長く付き合えて、カスタムの余地が残されている。

買った時点が完成ではなく、そこから自分の好みに寄せていける。

FEATHERを手掛けたデザイナーのブランドらしい懐の深さが、3台すべてに通底しています。

FUJIのシングルスピード5モデル比較|FEATHERだけじゃない、個性豊かなラインナップFUJIのシングルスピードはFEATHERだけじゃない。ピスト検討中の筆者がDECLARATION・STROLL・VAPAH・FEATHER・TRACK ARCVの5台を独自レーダーチャートで比較。タフ・お洒落・万能・カスタム素体・速さ特化、性格の違う5台からどう選ぶかを忖度なしで。...